18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー

2018.04.17

18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー 18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー

よりよい住まいを創り出す人たちへのインタビュー

#07 Antoinette Poisson

空間づくりに関する様々な分野で活躍する方々にお話をうかがう「MATERIAL」のインタビュー。今回はフランス特集に合わせた特別編!

スローに、ていねいに。フランスのアーティストのものづくりに迫りました。

協力:須田奈津妃

18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー

Antoinette Poisson アントワネット・ポワソン

 

18世紀のパリと壁紙を愛する美術修復家の若いフランス人アーティストJulie Stordiau(ジュリー・ストルディオ)、Vincent Farelly(ヴァンソン・ファレリィ)、Jean-Baptiste Martin (ジャン=バティスト・マルタン)の3人が2012年に立ち上げたブランド。18世紀の趣きを素材感豊かにおとしこんだ壁紙、日常使いのボックスやファブリックなどが代表作。ブランドネームは、ポンパドール公爵夫人として知られたルイ15世の愛妾、アントワネット・ポワソンに由来する。アーティストやフランスの有名ブランドとのコラボレーションも多数。

  • 18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー
  • 18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー
  • 18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー

18世紀の啓蒙時代、壁紙の元祖と言われるドミノ印刷「Dominos」という印刷工法が生まれた。現在のようなロール状の壁紙を使うのではなく、35cm × 45cm という小さな紙の中で表現できる美しい色柄の連続によって壁をしつらえ、小さな紙を壁面に一枚一枚張り重ねていくことで、一面の壁紙を形づくっていたのだ。
この18世紀の壁紙を現代に甦らせたのが、今回お話を聞いたフランスのアーティスト、ANTOINETTE POISSON.。 彼らのアーティスティックな壁紙は、フランス産の手すき和紙をベースにしている。モチーフが彫られた版に黒いインクをのせ、当時と同じ印刷機を用いてベースとなる紙に刷り込んだ後、線画部分にステンシルを施す。ステンシルは彼らの手ずから筆で塗り重ねられており、出来上がった壁紙一枚一枚が一点ものだ。

製造はパリ市内に構えたアトリエにて、すべて手作業で行 われている。このせわしない時代に逆行するかのように、ていねいに、スローに。そのものづくりの真髄をのぞき見させてもらった。(聞き手・坂田夏水)

不完全なほどチャーミング

―おもにどんなデザインを扱っているのでしょうか。

ANTOINETTE POISSON.:今まで手がけた作品は26点あり、そのうちの 6 点は複製品、10 点は歴史的なドミノの再現品、そのほかは私たちのデザインです。単色のデザイン以外は、どのデザインも最初は黒インクの印刷をした後に、色をステンシルで重ねていきますので、一枚一枚に表情があり、同じものは二度とできません。

今の壁紙の印刷技法はフラットで質感が足りないと思っています。私たちの制作は伝統的な技術を守りながら、かつユニークであり、一枚ずつ同様でなく不完全なほどチャーミングになると思っています。

 

―配色はどうやって決めているのですか?

ANTOINETTE POISSON.:18世紀に使われたフランスの伝統色で配色しています。その色を再現するために何度も調色し同じ色を再現します。黒の線画部分は大理石の上でインクを均等に伸ばし、版の上にインクをのせます。版を使って手で刷ることにより、同じ表情の作品は二つとなく、一枚一枚が少しずつ違った表情をしています。紙だけでなく布にも同じ工程で製造しています。

一日に5,6 枚程度が限度。全ては手作業

 ―とても手がかかっているのですね。一日に何枚くらい作れるんでしょうか。

ANTOINETTE POISSON.:最初の黒インクで刷るのは 100 枚くらいですが、その後にステンシルで色をつけていくので、色数にもよるけれど、一日にすると 5,6 枚程度です。色もその都度調合するし、筆で一枚ずつ色付けしていくものだから、それくらいが限度ですね。

18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー

私たちの作品は過去と未来の組み合わせ

―以前は美術修復をされていたそうですが……。

ANTOINETTE POISSON.:以前取り組んでいた美術修復は、ありのままを忠実に再現することが重要で、その当時のままの作品として尊重する仕事でした。私たちは修復以上の情熱を持って取り組んでいましたが、昔からのルールにとらわれずクリエイティブな作品造りをしようと決意して、ANTOINETTE POISSON. を立ち上げました。

私たちの作品は過去と未来の組み合わせです。伝統的技術を現代だからこそ評価されるドミノ壁紙という価値をみなさんに感じてもらって、ご自分の生活空間に取り入れていただけると光栄です。

18世紀の技を甦らせた フランス人トリオの想い ー アントワネット・ポワソン インタビュー

インタビューを終えて

凸凹のある手すきの紙いっぱいに広がる植物、鳥、幾何学模様などのモチーフ。微妙な彩色のずれが織りなす多層的な美しさ。作品をひと目見れば、伝統を尊敬しながら新しいものづくりを続ける彼らの姿勢がひと目見て手に取るように伝わってきます。

今の日本に、安くてかわいいものはたくさんあふれています。そんな世の中だからこそ、ANTOINETTE POISSON.の作品に触れると心が強く惹き付けられるのです。パリのエスプリが詰まった素敵なアート、リビングルームや玄関などにいかがでしょうか?美しい紙はWALPAから、クッションなどのファブリックはDecor Interior Tokyoにて取り揃えておりますので、ぜひ本物を手に取ってご覧ください。

MATERIAL配付中!

こちらのインタビューも掲載されている「MATERIAL vol.08」はDecor Interior Tokyo店頭で配付中です。

また、このサイトでお買い物して頂いた方にもお届け中。

オンライン上では今までのバックナンバーもご覧いただけますのであわせてどうぞ。

最近チェックした商品